「やらされ感」が消えた組織改革|チームコーチング導入事例

「社員にスキルを身につけさせたい」——経営者の方からのそういったご依頼あ多いですが、現場に“やらされ感”がある中でスキル研修を受けさせても成果にはつながりません。本記事では、社員が「数字を追う」ことに抵抗していた企業(R社)が、チームコーチングを通じて数字目標を“自分ごと化”し、自発的に動き出した導入事例を紹介します。本音を引き出し、共通の目標をつくり、各自がアクションを決めるまで——3時間のセッションで何が起きたのか、具体的に解説します。

1. 「営業を強くしたい」依頼の裏にあった“やらされ感”

1-1 R社の依頼:数字を追う営業組織にしたい

今回ご支援したのは、障がい者向けの支援事業を展開するR社。社長と社員の半数以上が障がいを持ち、当事者へのサポートや製品開発・販売を行う、非常に社会性の高い企業です。

社長からのご依頼は明確でした。「事業を拡大するために、売上の数字目標を決めて追う組織にしたい」「お客様の相談を受けて終わりにせず、商品を提案できる営業スキルを教えてほしい」。対象は社長と営業に関わる社員7名。当初は“営業スキルを高める研修をしてほしい”とのご相談でした。

1-2 現場の抵抗:「無理やり売りたくない」

ところが、現場には明確な抵抗がありました。社員は「数字を追う」という言葉に身構え、「欲しくない人に無理やり商品を売るようなことはしたくない」という思いを抱えていたのです。お客様サポートには長けている一方、「提案営業」には抵抗がある——こういった状態でした。


2. スキルの前に、なぜ「マインドセット」だったのか

2-1 やらされ感のままスキルを入れても、活用されない

ここで私あ「今のマインドのまま営業スキルを詰め込んでも、絶対に良い結果にはつながらない」。と判断しました。
やらされ感でスキル研修をやっても、受講生が必要性を感じていない以上、良い結果は生まれません。 

2-2 「なぜこの数字を?」を問い直す3時間

そこで社長に以下のようにご提案しました。
「営業に抵抗がある今のマインドのまま研修をしても、絶対に活用されません。チーム全員で目標の意味を考え、各自が本音を語り、目標を自分ごと化する場を一度作りませんか」
それに対して社長から「おっしゃる通り、本質的な問題は営業スキル不足ではなく、そもそも営業に対して自分ごと化されていないことだ。それが解決されるのであれば、ぜひ実施して欲しい」というお言葉をいただき、3時間のチームコーチングセッションを実施する運びとなりました。

次章以降、具体的に実施した内容をお伝えしていきます。 

3. 本音を吐き出すと、「共通の目標」が見えた

3-1 第三者が入ることで引き出せた本音

セッションは大きく前半と後半に分かれて実施しました。

前半の目的は、「自社が目指したい姿」を全員で言語化し、同じ目標を目指せる状態にすること。
ここで大事な前提があります。それは普段思っているのに言えていないこと、本音を吐き出せる状態にすることです。
本音に蓋をしている状態ではやらされ感を抜けることはできません。

そこで、まず各自の本音を聞く時間を設けました。第三者であるファシリテーターが入ったことで、普段の社内では出なかった本音が次々とこぼれ落ちました。 社長にとって耳の痛い意見も少なくありません。しかし、それを出し尽くすことで、全員が合意できる目標が自然と浮かび上がってきました。

3-2 全員が合意した“ポジティブな循環”のゴール

合意したゴールは、単なる数字ではありませんでした。

  1. 売上・利益目標の具体的な数字を掲げる
  2. その数字の達成は、自社の製品やサポートを必要とする障がい者の方々に価値を届け、喜ぶ人を増やすことにつながる
  3. 価値提供の結果が自社の利益と組織の安定になり、さらに「多くの人を支援する力(新しい仕掛けや事業)」を生む
  4. このポジティブな循環を、全員が一体となって生み出す
  5. その積み重ねの先に「お客様から愛される存在」になる

こうして、社長が掲げた数字目標と、社員が望む会社の姿がつながり、全員が同じ目標へ進む土壌ができました。


4. 各自が「自分で決めた」アクションプラン

4-1 目線が揃い、行動が同じ方向に集約された

セッション後半は、各自が「ゴール達成のためにとるべきアクション」を自発的に考える時間です。

以前は、それぞれが自分のやりたいことを優先し、やりたくないことから目を背けがちでした。しかし、目指す目標の共通認識ができたことで「何を優先すべきか」の目線が揃い、各自が考えるアクションが自ずと同じ方向へ集約されていきました。

4-2 3チームが決めた具体アクション

決まったアクションは、具体的かつ実行可能なものでした。

  • ① 既存顧客フォローチーム:対象顧客リストを月内に作成→ 翌月以降、役割分担してフォロー架電を開始
  • ② 法人・団体向け営業チーム:翌月から営業先を分析しアプローチ開始。タスクを書き出して優先順位をつけ、週・日単位の計画に落として実行
  • ③ 情報発信チーム:YouTube制作フローを刷新(シナリオ作成者と話者を分担)。月内に方向性決定、翌月から配信を本格スタート

これらのアクションは、すべて自発的に生まれました。 全員が目標にコミットし、その達成に当事者意識を持った瞬間でした。


5. スキルセットの前に、マインドセット

5-1 社長の声と、生まれた当事者意識

セッション後、社長はこう語りました。

「普段は聞けなかった社員の『本音』が聞けました。耳の痛い意見もありましたが、社員が会社に対して強い思いを持ってくれているとわかったのが何より嬉しかった。私から見るとやる気がないと見えていた社員も、根っこに強い思いを持っていることに気づけました。私が伝えたかったことを、社員が自分の言葉で語ってくれたのがとても良かったです。」

“与えられた目標”が、“自分たちの目標”に変わった——その手応えが、この言葉に表れています。

5-2 チームコーチングがパワフルな理由

「営業スキルを高めたい」「管理職にマネジメントスキルを習得させたい」——スキル習得のご要望はよくいただきます。しかし、「なぜそのスキルを学ぶのか」というマインドセットがないまま、やらされ感でインプットしても、現場で生かされることはありません。

このマインドセットをチーム単位で実現するうえで、チームコーチングは非常にパワフルです。こちらが与えるゴールではなく、自分たちでゴールを決めるからこそ、そこにエネルギーが生まれ、組織が強くなるのです。

▼ こんな組織は「スキルの前にマインドセット」が効きます(チェックリスト)

・「数字を追う」ことに、現場が抵抗・違和感を持っている
・研修を入れても、現場で行動が変わらない
・メンバーが自分のやりたいことを優先し、目線がバラバラ
・社長の思いと、社員の本音がすれ違っている気がする
・スキル研修の前に、目標の“自分ごと化”が必要だと感じる

当てはまる項目が多いほど、スキル研修よりも先にチームコーチングが効くサインです。


お問い合わせ・ご相談

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