9ヶ月で激変 次世代リーダー育成の実践記
「既存の業務は優秀にこなすのに、新しいことには踏み出せない」——多くの企業が抱えるこの課題に、ある旅行関連企業が9ヶ月間の次世代リーダー育成プログラムで挑みました。新規事業の立案を通じてリーダーシップを獲得するという設計のもと、社員16名はどう変わったのか。最終発表では役員が「実際にやってみたい」「買収してでも」と絶賛し、アセスメントでも全員の能力が向上——。本記事では、その実践のプロセスと成果を、事例としてご紹介します。
1. なぜ「次世代リーダー育成」に踏み切ったのか
1-1 既存業務に最適化された、優秀ゆえの壁
このプログラム開催の背景には、明確な問題意識がありました。対象となった社員たちは、既存の業務を回すには非常に優秀です。しかし、既存業務に最適化されているがゆえに、逆に「変化を起こす」「チャレンジする」「新しいことをやってみる」力が弱かったのです。決められた仕事を高精度で回す力と、正解のない未来を切り拓く力は、まったくの別物だからです。
1-2 業界変化で求められた「変革を担う人材」
一方、会社が置かれた状況は待ったなしでした。業界が大きく変わっていく中で、会社の変革を担う人材が不可欠だったのです。「優秀な実務家」を「変革の担い手」へ。この転換を、9ヶ月のプログラムで起こすことが狙いでした。
掲げたゴールは、**「創造力と変化により、かけがえのない旅の価値を生み出す、顧客の最良のパートナー。この未来を牽引するリーダーシップを獲得する」**というものでした。
2. 9ヶ月プログラムの全体像
2-1 新規事業立案を通じてリーダーシップを獲得する
プログラムの最大の特徴は、座学ではなく**「新規事業の立案」という実践を通じてリーダーシップを獲得する設計にしたことです。前提に置いたのは、「リーダーシップは能力であり、獲得可能である」**ということ。そして定義を、既存の延長を超え、理想の未来を描き、他者に働きかけて牽引する力として、実際の挑戦の中で習得していきました。
2-2 インプット期→アウトプット期
9ヶ月は、大きく2つの期間に分かれます。
- 前半:インプット期(足腰を鍛える) … リーダーシップ概論、現状理解、組織・市場の分析を通じて思考の土台をつくる
- 後半:アウトプット期(リーダーシップの発揮) … チームで新規事業を立案し、フィールドワークやブラッシュアップを重ねて最終発表へ
対象は社員16名(4名×4チーム)。チームで一つの事業を磨き上げるプロジェクトワークとして進めました。
3. 「勝ち筋」をどう見つけ、磨いたか
3-1 7S・PEST・クロスSWOTで“勝ち筋のストーリー”を描く
前半では、まず**7S分析で社内(内部環境)を、PEST分析で社外(外部環境)を徹底的に把握しました。そのうえで両者を掛け合わせるクロスSWOTで、自社の「勝ち筋のストーリー」**を考えます。
さらに「誰に・何を・どのように」というフレームで、各自が案を持ち寄り、評価とメンバーの熱量をもとに、チームで筋のいい一案を選び抜きました。
3-2 1on1で自分ごと化し、フィールドワークで事実を集める
研修の半ばでは、1on1を実施。実践フェーズに向けて当事者意識を高めるため、**「理想を達成したときに見たい未来」と「変われないことで避けたい未来」**を本人にイメージしてもらいました。
実践フェーズで徹底したのは、机上で完璧なプランを作り込むのではなく、「小さな先行事例」を作るという発想です。ターゲットに直接話を聞く、買いたいと言ってもらう、関係者に「これならやれそう」と言ってもらう——フィールドワークで“具体的な事実”を集め、企画を磨いていきました。 「精度を上げる」とは資料をきれいにすることではなく、周囲を動かす力を高めることだからです。
4. 役員が絶賛した、4チームの最終プレゼン
4-1 「実際にやってみたい」企画が並んだ
迎えた最終発表。4チームは、それぞれ趣の異なる新規事業を立案しました(グローバル探究学習、思い出の地をめぐる旅、欧州ネットワークの循環型戦略、ペット同伴ツアーなど)。
正直なところ、役員は新規事業提案に大きな期待はしていなかったといいます。ところが、4チームとも非常によく考えられ、リアリティがあり、「実際にやってみたい」と思える内容でした。
4-2 「買収してでも」——その場で具体的な事業議論に
評価は、その場の議論にも表れました。社長からは半分冗談・半分本気で**「これ、子会社を作るとしたら誰が社長になるんだ?」という声が。さらに「このビジネスをやるなら、足りないリソースは他社を買収して始めようか」「買収するならこの企業で、これくらいの金額でいけそうだ」**と、具体的な事業議論にまで発展したのです。研修の成果物が、本気の経営判断のテーブルに乗った瞬間でした。
5. 数字と姿に表れた、受講生の成長
5-1 質疑応答で見せた“深み”と堂々とした姿
絶賛されたのは企画だけではありません。受講生自身の成長も、はっきりと見て取れました。
発表にない質問にも的確に答えられたのは、**数ヶ月かけて企画を作り込んできた“深み”**があったからこそ。役員の前でも臆することなく、堂々と自分たちの主張を伝える姿に、頼もしさを感じさせました。
5-2 アセスメントでも、全員のリーダーシップ能力が向上
変化は、主観だけではありません。事務局によれば、研修前後のアセスメントで、受講生全員のリーダーシップに関する能力が向上していました。「既存に最適化されていた優秀な人材」が、自ら踏み出す“変革の担い手”へと育った——それが、この9ヶ月の成果です。
▼ こんな課題を持つ企業に、この育成は効きます(チェックリスト)
・既存業務は優秀にこなすが、新しいことに踏み出せる人が少ない
・業界の変化が激しく、変革を担う次世代人材が必要
・研修を「知識のインプット」で終わらせず、行動と成果につなげたい
・現場から新規事業や挑戦の提案が上がってくる組織にしたい
・経営と現場をつなぎ、自走できるリーダーを増やしたい
当てはまる項目が多いほど、“実践を通じたリーダーシップ開発”が効くサインです。
<次回予告>なぜ、ここまで育ったのか
なぜこのような劇的な変化を起こせたのか。次回の記事では、「受講生がここまで育った理由」を解剖し、その原理を“日常のマネジメント”に応用する方法を解説します。研修という特別な場だけでなく、現場の上司の関わりで人を育てるヒントとして、ぜひ続けてご覧ください。
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「既存業務は強いが、変革を担う人材が育たない」「実践を通じて次世代リーダーを育てたい」——そんな課題に、新規事業立案を通じた次世代リーダー育成を伴走型でご支援します。スモールスタートのご相談も歓迎です。
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