ご支援の概要

お客様:大英産業株式会社
テーマ:新規事業提案制度の伴走支援
対 象:全社員から手上げ制
目 的:新規事業の創造と、それを担う人材の育成
形 式:企画、研修、個別セッションを交えた伴走支援

ご支援の成果

・新規事業1つ、事業内プロジェクト1つの立ち上げに成功
・社員の1/3となる100名近くが自発的にセミナーに参加
・60の新規事業プランの公募、25名が新規事業創造にチャレンジ

◆インタビューにご協力いただいた方:
岡本様(取締役管理本部長)、浦木様(人材開発)、白石様(経営企画室)
インタビュアー:当社池田

※当インタビューは2021.2.18に実施いたしました

自分からチャレンジしたいことを提案してくる社員で溢れる会社を作る

池田:
まずは今回の新規事業提案制度の実施背景を教えてください。

岡本様:
昨年10月に第53期がスタートするにあたり役員を中心に中長期計画をたてました。その中で新規事業領域の強化が一つ大きな柱としてあがり、自社のコーポレートヴィジョンである「元気な街、心豊かな暮らし」を実現する新たな事業を開発することに力を入れる方針を打ち立てました。

今までも新しい事業への取り組みはしてきていたものの、基本的には役員が起案して行うトップダウン型のものでした。今回の中長期計画で目指したかったのは、自分からチャレンジしたいことを提案してくる社員で溢れる会社作り。社員からどんどんアイディアが上がってくるような風土形成です。
そのためには意欲高く、自発的にやりたいことを提案してくるような人材に機会を与えたいという思いから、新規事業提案制度の実施に至りました。

浦木様:
人材開発としては、前々期あたりから「キャリア開発」というのをテーマにおいておりました。その中で社員の様々なチャレンジを支援したいという思いから、「既存事業領域に留まらない成長機会の提供」を1つテーマにしておりましたので、その思いと今回の会社の流れが合致することとなりました。

白石様:
今までの新規事業は、あくまで既存事業の延長の領域でした。それを超えた新たな事業を生み出すということは、組織にも社員にも求められるものが変わってきます。ただこれからの変化が早く不確実な時代性を考えると、それくらいのチャレンジをする必要があると考えていました。

◆事業作りを通した人作りの重要性

池田:
そういった経緯の中で弊社にご依頼くださった理由を伺えますか。

岡本様:
新規事業提案制度をやる、というのは決めたものの正直に申しあげて社内に知見はなかったため、いくつかの会社様からお話を伺いました。その中で今回の新たなチャレンジをパートナーとして一緒にやらせていただきたいと感じたのが貴社でした。

きっかけは別の取締役からの紹介です。「今回のプロジェクトのパートナーに合いそうな人がいる」という声かけがあり、取締役全員を集めて1時間ほど池田さんに講座とディスカッションの場を設けていただきました。結果として、その場が終わった後すぐに決定に至りました。

決めた理由は大きく2つあります。一つは頭の理解で終わらないこと。精緻な情報収集や事業計画書を書くことに終始するのではなく、実をとっていくことを重視されていたこと。足を使って情報収集し、実現に向けてプロトタイプを作っていく。リーンスタートアップでいう「MVP」の考え方を重視されていたことです。

もう一つは、事業作りだけではなく人作りの部分を大変重視されていたことです。
今回の取り組みでは新規事業の成功を目指すことは当然ながら最も重要ですが、とはいえそれは簡単なことではありません。もし失敗したらせっかくチャレンジをしても何も残らない、ともすると会社に負の記憶として刻まれてしまい士気を下げてしまうことにもなりかねません。
そこで「事業を作るプロセスにできるだけ多くの人を巻き込み、事業を作れる人を作るプロジェクトにしましょう」としきりにおっしゃってくださり、芯に人作りに対する思いを強く持っているのが伝わりました。そして、人作りを芯に置いた伴走支援のご提案をしていただきました。
弊社の社員は情に厚いメンバーが多く、「誰と仕事をするのか」を重視する側面があります。池田さんも「自分の限られた時間を使うからには思いある人と仕事をしたい」とおっしゃっていて、思いの部分でも弊社と合うと感じました。

白石様:
岡本の言う通り、池田さんの思いにとても芯があると感じたのは大きかったです。一方で型にははめない。本質はぶらさずに、より良い成果を出すために柔軟に対応してくださる。その両面のバランスがとても良いと感じました。

浦木様:
人材開発としては、元々は外部のコンサルタントを入れずに自社でやるつもりでおりました。以前に事業計画書を作る研修に参加したメンバーもいたので、社内でできると考えていたためです。
ただ池田さんのご提案の内容や思いを伺って、社内でやるよりも良いものができる可能性を感じました。

◆新しいものを生み出す苦しみを嬉しそうに話す社員たちの姿

池田:
実際に支援が始まってからの満足度はいかがですか。

岡本様:
始まってからも伴走支援してくださり、プロジェクトは当初の期待以上の進捗で進んでいる実感がございます。

今回一つ不安事項としてあったのが、オンライン開催でした。前述通り人が好きな会社なので、実際に会って一緒に空間を共にすることで関係を築いていく。それができない中でうまく進むかの不安は感じておりました。
ただその部分をカバーしていただきつつ、オンラインの良さを生かしていただき、結果的にはリアルでやっていただくよりもより多くの社員が集まることができ、ワークなども効果的に取り入れていただくことで熱量も伝わり、オンラインでここまでできるのか、と可能性を感じさせていただきました。

「事業を作れる人を作る、風土を作る」という考えもと、アイディアの公募をする前に、全社員の希望者を対象に、新規事業が必要な時代背景や面白さをお伝えするセミナーを開催いただきましたが、その際には業務終了後の時間外で自由参加にも関わらず100名近くの社員が参加し(社員数300名弱)、自社の持っているポテンシャルを掘り起こしていただきました。

またその後の「着想力講座」では、新規事業を作るということにとどまらず、今の時代をどう洞察するか、という大局的なお話しをしていただき、私自身も大変勉強になりました。 そのように、一つ一つのメソッドがしっかりしていて、セミナーに参加するたびに学びを得られています。

白石が言っていたように「本質をぶらさない」こと。そこを大事にされているので、一つ一つのメッセージが深く刺さってきますし、参加者にもそれが伝わっているのだと思います。
参加者は現業をしながら新規事業に取り組んでいるので当然かなり忙しいはずなのですが、参加している全員が楽しそうなのがとても印象的です。物理的だけではなく、新しいものを生み出す過程では精神的にも苦しいはずなのですが、その苦しみを皆が嬉しそうに話してくれます(笑)。

◆組織図では見えない人と人の力強い繋がりが生まれている

池田:
みなさま、本当に楽しそうに参加されているのが私も大変印象的です。

白石様:
私も社内の雰囲気にすでに変化を感じています。日常会話の中でも新規事業の次の種の話が出るようになりました。
情報の感度が上がっているのだと思います。広く社会に興味を持つようになったことで、情報に対する感度が広さと深さ共に上がっているように思います。
自分自身も含めて、必ずしも新規事業にチャレンジをしなくても、今の業務でその学びを活かせるシーンが散りばめられていることに気づいたのかもしれません。

またこれまで手挙げ制のプロジェクトをやっても手を挙げなかった顔ぶれが参加しているのも一つの成果です。事務局側で想定していなかったメンバーが自発的に参加して、主体性を発揮しているのは嬉しい驚きです。
そして現業以外に時間を割くことに対して、周囲も好意的に捉えて協力的なのはとても嬉しいことです。

浦木様:
事業を生み出すことと人を育てること。この両立を目指すのは難しいのではないかと思っていましたが、今のところは当初の想定以上にうまくいっています。数的な部分でもこれだけ多くの社員が自発的に参加し60以上の案が集まるとは思っていませんでしたし、参加者の声を聞いても、とても満足度が高いように思います。

現在、60以上出たアイディアの中から5案を決めて具体化するプロセスに入っていますが、5案に対して一緒にやりたいメンバーを手挙げ制で募るときも正直集まるかどうか不安でした。しかし蓋を開けてみると全チーム期限が来る前に定員の5名に達し、しかも若手のメンバーが多かったのは嬉しい結果でした。

岡本様:
チームメンバー同士は、普段の業務では接点のない者同士もおります。ただ同じ目的に向かって意見をぶつけ合うことで、役職の上下や垣根を超えて、メンバー同士の結束が強まっているのを感じます。組織図では見えない人と人の力強い繋がりができています。
特に若手のチームは人としての成長を短期間でも強く感じます。

当初の期間と予算を超えてお手伝いいただきたく意思決定をしたのも、参加者の思いに後押しされた部分も大きくあります。どうすればプロジェクトが成功するか。参加者の立場になったときに、どんな支援があるとより成功につながるか。そこを常に一緒に考えて進めていけているように思います。

◆人作り、風土作りを通して事業を生み出す

池田:
これからの支援で期待されることはなんですか。

岡本様:
多くの社員に参画してもらい、新規事業が生み出させる人作り、風土作りをするという点では、もうかなり会社の中で変化が起き始め、期待以上の成果を実感できております。
これからはいよいよ事業を実装していくフェーズですので、引き続き伴走をお願いいたします。

白石様:
このプロジェクトを通して1つでも事業を実現まで持っていき、会社の成功体験として形にしたいと考えております。

浦木様:
この流れを絶やさぬよう、新規事業が継続的に生み出される風土醸成をさらに作っていきたいので、共に考えていければと思います。


※インタビュー後、継続支援の成果として新規事業1つ、プロジェクトが1つ立ち上がりました。
詳細プログラムは 事業開発プログラム の事例にてご紹介しています。
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